攻略!日商簿記検定

日商簿記1級~3級の試験内容を合格目指して徹底的に解説していくブログです

【簿記1級】部門別製造間接費の予定配賦

 

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補助部門からの製造原価の配賦も終わり製造部門で集計された製造部門費は、その後各製造指図書に配賦されます

 

この製造部門費の製造指図書への配賦も予定配賦が原則です。そしてここで発生する差異は「製造部門費配賦差異」とされます。

 

 

 

例題:各会計処理における仕訳を行いなさい。

(1)当年度の年間予算数値は次の通りである。ここから各部門の予定配賦率を求めなさい。なお切削部門の配賦基準は機械運転時間、組立部門の配賦基準は直接作業時間とする。

 

  切削部門 組立部門 合計
製造部門予算 25920円 23040円 48960円
予定直接作業時間 48時間 96時間  144時間 

予定機械運転時間

72時間 48時間 120時間

 

(2)当月の切削部門の機械運転時間は12時間である。(No1に4時間、No2に8時間)、組立部門の直接作業時間は10時間(No1に6時間、No2に4時間)であり各製造部門費の予定配賦を行なった。

 

(3)各製造部門費勘定に集計された当月の製造部門費実際発生額は切削部門が4000円、組立部門が2500円であり予定配賦額と実際配賦額の差を製造部門費配賦差異勘定に振り替えた。

 

 

 

 

<解答>

 

(1)予定配賦率の計算

 

(1)当年度の年間予算数値は次の通りである。ここから各部門の予定配賦率を求めなさい。なお切削部門の配賦基準は機械運転時間組立部門の配賦基準は直接作業時間とする。

 

この文面に従って計算していきます。

 

切削部門:25920円÷72時間=@360円

組立部門:23040円÷96時間=@240円

 

 

 

 (2)予定配賦額の計算

 

切削部門:No1   @360円×4時間=1440円

     No2 @360円×8時間=2880円

 

組立部門:No1  @240円×6時間=1440円

     No2  @240円×4時間=960円

 

 

<仕訳>

(仕掛品)7320 /(切削部門)4320

          (組立部門)2400

 

 

(3)配賦差異の計算

 

切削部門:4320円(予定額)-4000円(実際額)=+320円(貸方:有利差異)

組立部門:2400円(予定額)ー2500円(実際額)=△100円(借方:不利差異)

 

 

<仕訳>

 

(切削部門)     320 /(製造部門費配賦差異)320

(製造部門費配賦差異)100 /(組立部門)     100

 

 

【簿記1級】仕損費の仕訳処理のやり方

 

 

仕損費の分類

 

復習ですが仕損費はその発生原因から正常仕損と異常仕損に分けることができます。そして会計処理には3つのパターンがあります。

 

・正常仕損→製品原価に含める(①直接経費処理 or ②間接経費処理

・異常仕損→③非原価処理

 

 

 

・正常仕損の会計処理

 

モノを作ったことがある人なら分かると思いますが、製品を製造する際には制約だったろミスだったりでどうしても避けようのない仕損が発生してしまいます。こうした仕損を正常仕損といい、それにより発生する費用を正常仕損費と言います。

 

この正常仕損は製品を製造する上で必ず発生してしまうコストなので、製品原価に含めます。そして製品原価において、直接経費に含めるか、間接経費に含めるかの2つの処理方法があります。

 

 

 

・異常仕損の会計処理

 

通常発生しうる程度を超えた仕損が発生した場合や、火災や事故といった予期せぬアクシデントにより発生した仕損は異常仕損とされます。そしてそれに伴う費用を異常仕損費と言います。

 

異常仕損費は非原価項目として処理され、P/L(損益計算書)では営業損失 or 特別損失に計上されます。

 

 

例題:↓の資料に基づいて仕損費の仕訳処理を行いなさい。

 

 

  No1 No1-1 No2 No2-1 No3 No3-1 合計
前月繰  1000           1000
直接材料費  3000  500  6000  7000  10000 1200 27700
直接労務費 2000 900 3000  3500  5000 600 11000
製造間接費              
切削部門 4500 2000 6000 7500 8000 3000 31000
組立部門 2500 1500 4000 5000 7500 4000 24500
合計 7000 3500 10000 12500 15500 7000 55500
仕損品評価額     △5000     △1000  
仕損費   △3500 △5000     △6000  
合計   0 0     0  

 

 

1:製造指図書No1の製造中に切削部門で生じた仕損は通常起こりうる程度である。そして原因はNo1の製造にあるためNo1の製造原価にのみ負担させる。

 

2:製造指図書No2の製造中に組立部門で生じた仕損は予期しない事故によって発生したものである。

 

3:製造指図書No3の製造中に組立部門で発生した仕損は通常起こりうる程度のものであるが、組立部門が原因なのですべての製品の製造原価に負担させる。

 

 

 

<解答>

 

・No1-1の仕訳処理

 

1:製造指図書No1の製造中に切削部門で生じた仕損は通常起こりうる程度である。そして原因はNo1の製造にあるためNo1の製造原価にのみ負担させる。

 

「仕損は通常起こりうる程度のもの」で「特定の製品の製造原価のみに負担させる」とされているので①直接経費処理 であると分かります。そして、No1の製造原価は7000+3500=10500となります。

 

 

<仕訳>

(仕掛品)3500 /(仕損費)3500

 

 

 

・No2の仕訳処理

 

2:製造指図書No2の製造中に組立部門で生じた仕損は予期しない事故によって発生したものである。

 

上の文面からこの仕損は異常仕損であり、③非原価処理だと分かります。そして、非原価処理の場合は発生した仕損費を「損益」という勘定科目に振り替えます。

 

<仕訳>

(損益)5000 /(仕損費)5000

 

 

 

・No3の処理

 

3:製造指図書No3の製造中に組立部門で発生した仕損は通常起こりうる程度のものであるが、組立部門が原因なのですべての製品の製造原価に負担させる

 

この2つの文面から②間接経費処理であるとわかります。このとき仕損費は間接経費勘定科目である「組立部門」という勘定科目に振り替えます

 

<仕訳>

(組立部門)6000 /(仕損費)6000

 

 

 

・仕損費の処理

 

次に仕損費と仕損品評価額を仕掛品勘定に振り替えます。

 

<仕訳>

(仕損品)6000  /(仕掛品)20500

(仕損費)14500

 

これと上の3つの仕訳を合計したものをまとめます。

 

 

<仕訳>

(組立部門)6000 /(仕損費)14500

(仕掛品) 3500

(損益)  5000

 

         ↓

 

<仕訳>

(組立部門)6000 /(仕損費)17000

(仕損品) 6000

(損益)  5000

 

 

【簿記1級】作業屑の処理

 

作業屑とは?

 

作業屑とは、製品の製造中に発生する材料の残りカスのうち売却したり、他の製品の材料として使えるものの事を指します。

 

 

作業屑の会計処理

 

作業屑は仕損のように作業屑品や作業屑費といった勘定科目はありません。ですが売却したり再利用できたりと価値があるので、作業屑が生じた場合は会計処理が必要です。

 

作業屑の会計処理は、どの製品から発生したかを特定できるかどうかで会計処理が変わります。ちなみに特定できる場合は「①直接材料費または製造原価合計から評価額を控除する」、できない場合は「②発生部門の部門費から控除する」という方法を取ります。

 

 

例題:次の文章から仕訳を行いなさい。

 

<資料>

 当月の製造作業において、組立部門で作業中に50kgの作業屑が発生し、この作業屑はkgあたり30円で売却できると見積もられた。

 

[問1] 作業屑は製造指図書No1の製造中に生じたものであり、その売却価値は材料から生じていると考えるため直接材料費から控除する。

[問2] 作業屑は製造指図書No1の製造中に生じたものであり、その売却価値は加工作業全般から生じているものとするため製造原価合計から控除する。

[問3] 作業屑はその製造指図書から発生したか不明であるため、発生部門の部門費から控除する。

 

ちなみに製造指図書No1に集計された原価は次の通りであった。

 

  No1
前月繰越  
直接材料費    9600円
直接労務費  17200円
製造間接費  
 切削部門   3000円
 組立部門   6000円 
合計  35800円

 

 

 

 

<解答>

 

問1・問2:

①直接材料費または製造原価合計から作業屑評価額を控除するパターン

 

作業屑が特定の製造指図書の製品製造から発生した場合には作業屑の評価額を発生した製造原価指図書の直接材料費または製造原価合計から差し引きます。

 

作業屑評価額:50kg×30円=1500円

 

<仕訳>

(作業屑)1500 /(仕掛品)1500

 

 

問3:

②発生部門の製造部門費から控除する方法

 

作業屑が特定の製造指図書の製品製造からではなく、特定の製造部門発生した場合には作業屑の評価額を発生した製造部門の部門費から差し引きます。

※部門別原価計算をしていないときは製造間接費から差し引きます。

 

 

<仕訳>

(作業屑)1500 /(組立部門)1500

 

 

 

【簿記1級】単一基準配賦法と複数基準配賦法 その3

 

 

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・複数基準配賦法による予定配賦額の計算

 

単一基準配賦法による予定配賦では、補助部門の予算差異が製造部門に配賦されることはありません。しかし補助部門によって管理不能な操業度差異までも補助部門勘定に残ってしまいます。

 

補助部門の操業度差異(固定費での予算差異のこと)は、製造部門において予定と実際でサービス消費量が違うために発生するものであり、補助部門側の責任ではなく製造部門側の責任となります。なので、補助部門の操業度差異に関しては原価計算上製造部門に負担させるのが望ましいとされます。

 

つまり、固定費と変動費を同じものとして計算する単一基準法では、変動費と固定費の性質に応じた正確な配賦計算がおこなえないという欠点があるのです。この欠点を補うためにあるのが複数基準配賦法です。

 

 

・複数基準配賦法による予算許容額配賦

 

複数基準配賦法による予算許容額予定配賦とは、補助部門の変動費は予定配賦率に実際のサービス消費量を掛けて計算し、固定費に関しては予算額を関係部門にサービス消費能力割合で配賦する方法です。これが単一基準配賦法の欠点を克服しており、原価計算における配賦計算でもっとも最善の計算方法と言えます。

 

 

例題:当社の動力部門はその製造部門である切削部門と組立部門に総力を供給している。↓の資料により直接配賦法と複数基準配賦法により動力部門費の配賦を行いなさい。また変動費は予定配賦し、固定費は予算額を配賦する。また差異分析も行いなさい。

 

<資料>

1:製造部門の動力消費量

  切削部門 組立部門 合計
(1) 月間消費能力 250kw 250kw 500kw
(2) 月間予想総消費量 300kw 250kw  550kw 

(3) 当月の実際消費量

280kw 300kw 580kw

 

 

※月間消費能力の600kwと月間予想消費量550kwは当年度の年間消費能力と年間予想総消費量に基づいて設定している。

 

 

2:動力部門の月次変動予算及び当月実績データ

 

  月次変動予算 当月実績
動力供給量 550kw 500kw
動力部門費    

 固定費

5000円 4600円

 変動費

2750円 3500円

合計

7750円 8100円

 

 

 

 

 

<解答>

 

・変動費の計算(予定配賦率×実際サービス消費量)

 

動力部門費の予定配賦率:2750円÷550kw=@5円

 

切削部門:@5円×280kw=1400円

組立部門:@5円×330kw=1650円

 

 

・固定費の計算(予定額をサービス消費能力の割合で配賦)

 

切削部門:5000円×(250kw+250kw)×250kw=2500円

組立部門:5000円×(250kw+250kw)×250kw=2500円

 

 

・差異分析

 

 

【簿記1級】単一基準配賦法と複数基準配賦法 その2

 

 

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これまで補助部門費を実際発生額で計算してきましたが、実際発生額で計算してしまうと予算差異が発生し、配賦先製造部門で正確な業績測定ができないなどといった問題が発生します。なので基本的に補助部門費も予定配賦額で計算します。

 

 

 

単一基準配賦法による予定配賦

 

単一基準配賦法による予定配賦は補助部門費の予算額を補助部門の操業基準度で割って予定配賦率を算出し、これを基に他部門へ予定配賦額を配賦していきます。

 

 

例題:当社の動力部門はその製造部門である切削部門と組立部門に総力を供給している。↓の資料により直接配賦法と単一基準配賦法により動力部門費の予定配賦を行いなさい。また動力部門の差異分析も行うこと。

 

<資料>

1:製造部門の動力消費量

  切削部門 組立部門 合計
(1) 月間消費能力 250kw 350kw 600kw
(2) 月間予想総消費量 300kw 250kw  550kw 

(3) 当月の実際消費量

280kw 300kw 580kw

 

 

※月間消費能力の600kwと月間予想消費量550kwは当年度の年間消費能力と年間予想総消費量に基づいて設定している。

 

 

2:動力部門の月次変動予算及び当月実績データ

 

  月次変動予算 当月実績
動力供給量 550kw 500kw
動力部門費    

 固定費

5000円 4600円

 変動費

3250円 3500円

合計

8250円 8100円

 

 

 

 

 

<解答>

単一基準配賦法により予定配賦を行う場合は、これまでの予定配賦の計算と同じように補助部門費の予算額を補助部門の基準操業度で割って予定配賦率を計算し、これに関係部門の実際サービス消費量を掛けます。

 

 

・予定配賦額の計算

 

動力部門費の予定配賦率:8250円÷5500kw=@1.5円

 

 

動力部門費の予定配賦額

 

切削部門:@1.5円×280kw=420円

組立部門:@1.5円×330kw=495円

 

 

・差異分析

 

 

 

 

【簿記1級】個別原価計算における仕損費の計上方法 その1

 

 

仕損とは?

 

仕損とは、製品を製造する過程でなんらかの原因により製造に失敗し一定の品質や規格を満たさない、いわゆる不良品が発生することをいい、その不良品を仕損品と言います。またこの仕損の発生によって生じた費用を仕損費と言います。

 

 

個別原価計算での仕損費の計算

 

個別原価計算において仕損してしまった製品は、「①状態によっては補修したりして良品に回復するパターン」と「②どうしようもないのでポイーして始めから作り直すパターン」の2つがあります。そしてどちらの場合でも追加費用が掛かるので、それを原価に上乗せしなくてはいけません。

 

 

①補修で良品になるとき

 

例題:次の資料から仕損費を計算しなさい。

<資料>

1:製造指図書No1の製造中に切削部門で仕損が生じたので、補修指図書No1-1を発行して補修を行った。

 

2:各製造指図書に集計された原価は↓の通りである

  No1 No1-1 合計
前月繰越 5000円      
直接材料費  10000円 2000円      
直接労務費 2000円 900円
 
   
製造間接費
 
   
 製造部門 2000円 900円
 
   
 組立部門 2500円 1400円
 
   
合計 21500円 5200円
 
   


 

 

 

<解答>

 

問題文に簡単な手直しで修理できる書いてある場合は①補修で良品となるパターンです。この場合、その補修のために発生した原価(補修にかかる材料費・労務費・経費)を仕損費とします。 

 

なので、①補修で良品となるパターンでの計上する仕損費の金額は、「補修指図書にかいてある原価の合計」となります。

 

よって例題だと、No1-1の合計額である 5200円 が仕損費となります。

 

 

 

 

②どうしようもないのでポイーして始めから作り直すパターン

 

例題:次の資料から仕損費を計算しなさい。

<資料>

1:製造指図書No2の製造中の製品がすべて仕損となったため、新たに代品製造指図書No2-1を発行して代品の製造を行った。なお仕損品は1500円で処分できることになっている。

 

2:製造指図書No3の製造中に一部が仕損となり、補修もできないため新たに代品製造指図書No3-1を発行して代品の製造を行った。なお仕損品は2500円で処分できることになっている。

 

3:各製造指図書に集計された原価は↓の通りである。

 

  No2 No2-1 No3 No3—1 合計
前月繰越  ー  ー  ー    
直接材料費  ー 2000円 1800円  5000円  4500円  
直接労務費  ー 900円 800円  3000円  3500円  
製造間接費  ー
 
     
 製造部門  ー 900円 800円  1700円  1800円  
 組立部門  ー 1400円 1200円  2200円  2000円  
合計  ー  5200円 4600円  11900円  11800円  

 

 

 

<解答>

 

仕損が発生し、その程度が大きく補修が不可能で新しく代品を製造しなくてはならない時は、仕損したものを手直しするのではなく一から新しい製品を作るので、新しい製品と仕損した不良品が残ることになります。

 

この不良品は場合によっては売却可能だったり、再利用することができたりします。そして、この売却処分額や再利用によって節約できる製造費用を仕損品評価額といい、問題分にこれがあるときは仕損品の計算から控除しておきます。また仕損にも②-1 全部仕損と②-2 一部仕損 の2パターンが存在し、それぞれ計算処理が少し違います。

 

 

 

①元の製造指図書の製品が全部仕損となったとき(全部仕損)

 

製造中の製品が全部仕損になったときは、もとの製造指図書に集計された製造原価を仕損品原価とし仕損品評価額があるときは、その評価額分を差し引いた金額が仕損費となります。

 

仕損費 = 元の製造指図書の合計原価 ー 仕損品評価額

 

 

 

②元の製品指図書の一部が仕損となった場合(一部仕損)

 

製造中の製品の一部が仕損となった場合は代品製造指図書に集計された原価から仕損品評価額を差し引いた原価を集計していきます。

 

仕損費 = 代品製造指図書の原価の合計 - 仕損品評価額

 

 

 

まず

 

1:製造指図書No2の製造中の製品がすべて仕損となったため、新たに代品製造指図書No2-1を発行して代品の製造を行った。なお仕損品は1500円で処分できることになっている。

 

 これは文面から全部仕損だと分かります。なので仕損費は

5200円(No1の原価合計)-1500円(仕損品評価額)=3700円 だと分かります。

 

 

 

次に2を見ていきます

2:製造指図書No3の製造中に一部が仕損となり、補修もできないため新たに代品製造指図書No3-1を発行して代品の製造を行った。なお仕損品は2500円で処分できることになっている。

 

これは文面から一部仕損と分かります。なので仕損費は

11800円(代品製造指図書の原価合計) ー 2500円(仕損品評価額) = 9300円

となります。

 

 

 

 

仕損費の計上

 

1・2から計上された仕損費と仕損品評価額は、仕掛品勘定から一旦控除され仕損品と仕損費という勘定科目に振り替えます。

 

仕損品勘定の額は仕損品評価額の合計(1500円+2500円=4000円)、仕損費勘定がこれまで計算した仕損費の合計(5200円+3700円+9300円=18200円)です

 

 

仕訳

(仕損品)4000  /(仕掛品)22200

(仕損費)18200   /

 

 

【簿記1級】単一基準配賦法と複数基準配賦法 その1

 

 

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これまで補助部門費を他部門にいかに配賦していくかを見ていきましたが、この他にも補助部門費が固定費と変動費に分類されて計上しているケースがあります。この場合には「単一基準配賦法」と「複数基準配賦法」という方法で補助部門費を他部門に配賦していきます。

 

 

単一基準配賦法とは?

 

単一基準配賦法とは、変動費と固定費に分けられた補助部門費を他部門に配賦する際、変動費と固定費を区別せず一括してサービス提供に割合で配賦していく方法です。

 

 

 

例題:この動力部門は製造部門である切削部門と組立部門に動力を供給している。次の資料から直接配賦法と単一基準配賦法で動力部門費の実際配賦を行いなさい。

 

<資料>

1:製造部門の動力消費量

 

  切削部門 組立部門 合計
月間消費能力  340kw   910kw   1250kw 
当月実績消費量  300kw     900kw  1200kw 

 

2:動力部門の当月実績データ

動力供給量:1200kw

動力部門費:変動費 7000円

      固定費 5000円

      合計 12000円

 

 

 

 <解答>

 

単一基準配賦法により動力部門費を実際配賦していきます。配賦計算には実際動力消費量の数値を使います。

 

 

・ 動力部門費の配賦額

切削部門:12000円×( 300kw ÷ 1200kw )=3000円

組立部門:12000円×( 900kw ÷ 1200kw )=9000円

 

<仕訳>

(切削部門)3000 /(動力部門)12000

(組立部門)9000 /

 

 

 

複数基準配賦法とは?

 

複数基準配賦法とは、変動費と固定費に分けられた補助部門費を他部門に配賦する際、変動費と固定費を区別し、それぞれのサービス基準の割合で配賦していく方法です。

 

 

例題:この動力部門は製造部門である切削部門と組立部門に動力を供給している。次の資料から直接配賦法と複数基準配賦法で動力部門費の実際配賦を行いなさい。

 

<資料>

1:製造部門の動力消費量

 

  切削部門 組立部門 合計
月間消費能力  340kw   910kw   1250kw 
当月実績消費量  300kw     900kw  1200kw 

 

2:動力部門の当月実績データ

動力供給量:1200kw

動力部門費:変動費 7000円

      固定費 5000円

      合計 12000円

 

 

 

<解答>

 

さっきの単一基準配賦法と違いは、まず固定費と変動費を区別して配賦計算する点です。加えて固定費はサービス消費能力の割合で配賦していくという点に注意です。

 

 

・ 動力部門費の実際配賦額(変動費)

切削部門:7000円×( 300kw ÷ 1200kw )=1750円

組立部門:7000円×( 900kw ÷ 1200kw )=5250円

 

 

・ 動力部門費の実際配賦額(固定費)

切削部門:5000円×( 340kw ÷ 1250kw )= 1360円

組立部門:5000円×( 910kw ÷ 1250kw )= 3640円

 

【簿記1級】部門別原価計算 その4

 

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・階梯式配賦法

 

配賦階梯法とは、前回の純粋な相互配賦法とはまたちがって、補助部門間のサービスのやり取りを一部考慮して計算する方法です。

 

この方法は階梯という名前からも分かるように、補助部門を順位付けして順位の高い補助部門から順位の低い補助部門に対するサービス提供は計算しますが、順位の低い部門から高い部門へのサービス提供は考慮しないというのが特徴です。

 

 

・補助部門の順位付けの方法

補助部門の順位付けは、2つの基準を使って行います。

 

第1基準

他の補助部門へのサービス提供数の多さ:他部門へサービス提供が多い部門を上位とします(自部門への提供はノーカン)

 

第2基準

他の補助部門への提供数が同じだった場合は、部門費の多い方か相互の配賦額を比較し、相手より配賦額が多い方を上位とします。

 

 

例題:次の資料に基づいて階梯式配賦法で補助部門費の配賦計算及び、仕訳を行いなさい。

  

<資料>

  合計 切削部門 組立部門 動力部門 修繕部門
部門費 100000円 30000円 18000円 45000円 20000円
補助部門費配賦基準          
動力消費量 2000kw 900kw 600kw   500kw
修繕時間 200時間 40時間 60時間 25時間 75時間

 

 

 

 

 <解答>

 

・第1判断基準(他部門へのサービス提供数)


動力部門→修繕部門(1)
修繕部門→動力部門(1)

 

 

・第2判断基準

 

①部門費

 
動力部門:45000円(1位)
修繕部門:20000円(2位)

 

②相互配賦額基準


動力部門の修繕部門への配賦額:

45000円 × 500kw ÷ (900kw+600kw+500kw)=11250円(1位)


修繕部門の動力部門への配賦額:

20000円 × 25時間 ÷ (40+60+25)=4000円(2位)

 

 

※この場合はどちらの基準で計算しても同じ順位になりますが、試験ではどちらの基準で計算するか問題文に書いてあります 。

 

この場合、動力部門が1位なので動力部門から切削・組立はもちろん2位修繕部門にも部門費を配布していきます。

 

・動力部門費の配賦

切削:45000円÷2000時間×900時間=20250円

組立:45000円÷2000時間×600時間=13500円

修繕:45000円÷2000時間×500時間=11250円

 

 

次に修繕部門費の配賦ですが、修繕部門は2位で動力部門は1位なので動力部門への部門費の配賦は行いません加えて1上で1位の部門(動力部門)から配賦された額(この問題だと11250円)を配賦計算に加味するのも忘れてはいけません。

 

・修繕部門費の配賦

切削:(20000円+11250円)÷100時間×40時間=12500円

組立:(20000円+11250円)×100時間×60時間=18750円

 

これを表にまとめると下のようになります。

 

 

  合計 切削部門 組立部門 動力部門 修繕部門
部門費 100000円 30000円 18000円 45000円 20000円
補助部門費配賦基準          
動力消費量   20250円 13500円   11250円
修繕時間   12500円 18750円    

 

 

 

<仕訳>

(切削部門)32750 /(動力部門)45000

(組立部門)32250 /(修繕部門)20000

 

 

【簿記1級】部門別原価計算 その3

 

・純粋な相互配賦法

 

連立方程式を使用した相互配賦法は純粋な相互配賦法ともいわれ、補助部門間のサービスのやり取りもすべて考慮して配賦計算を行います。

 

この方法には、各補助部門費がゼロになるまで配賦計算を繰り返す連続配賦法その過程を連立方程式で計算する連立方程式法の2つがあります。まあ前者はアホみたいに時間がかかりますし計算ミスも多いので、99.9%連立方程式で計算します。

 

 

次は例題を解いていきます。

 

例題:次の資料に基づいて純粋な相互配賦法による補助部門費を計算しなさい。

 

<資料>

  合計 切削部門 組立部門 動力部門 修繕部門
部門費 100000円 30000円 18000円 45000円 20000円
補助部門費配賦基準          
動力消費量 2000kw 900kw 600kw   500kw
修繕時間 200時間 40時間 60時間 25時間 75時間

 

 

 

 

<解答>

 

 動力部門費の合計をa、修繕部門費の合計をbとして、各部門への配賦割合を計算します。ただし、自費部門への配賦は計算に加えません。(この問題だと修繕部門から修繕部門への75時間は配賦計算において計算に加えないということになります。)

 

 

・動力部門の各部門への提供割合から計算した配賦額

切削部門:a × 900 ÷(900 + 600 + 500)= 0.45a

組立部門:a × 600 ÷(900 + 600 + 500)= 0.3a

補助部門:a × 500 ÷(900 + 600 + 500)= 0.25a

 

 

・修繕部門の各部門への提供割合から計算した配賦額

切削部門:b × 40 ÷(40 + 60 + 25)= 0.32a

組立部門:b × 60 ÷(40 + 60 + 25)= 0.48a

修繕部門:b × 25 ÷(40 + 60 + 25)= 0.2a

           

分母に自部門への配賦分である75時間は計算に加えない!!

 

 これを表にまとめると

  合計 切削部門 組立部門 動力部門 修繕部門
部門費 100000円 30000円 18000円 45000円 20000円
補助部門費配賦基準          
動力消費量   0.45a 0.3a   0.25a
修繕時間   0.32b 0.48b 0.2b  
製造部門費         a   b

 

 太線の部分に注目すると次のような連立方程式を作ることができます。


a = 45000 + 0.2b  ・・・①
b = 20000+0.25a  ・・・②

 

 

0.25a=(45000 + 0.2b)= 11250 + 0.05b ・・・①‘

 

①‘を②に代入すると

 

b=20000 + 11250 + 0.05b → b ≒ 32895

 

このbの値を①に代入すると

 

a = 32895 × 0.2 + 45000 = 51579

 

これで a と b の値がそれぞれ分かったので上の表に当てはめていきます。

 

 

 

  合計 切削部門 組立部門 動力部門 修繕部門
部門費 100000円 30000円 18000円 45000円 20000円
補助部門費配賦基準          
動力消費量   23210 15474   12895
修繕時間   10555 15851 6579  
製造部門費        51579 32895

 

※小数第一位は四捨五入しています

 

よって製造部門である切削部門と組立部門Nの補助部門費が分かったので仕訳していきます。

 

<仕訳>

(切削部門)33765 /(動力部門)45000

(組立部門)31325 /(修繕部門)20000

 

 

 

【工業簿記】部門別原価計算 その2

 

 

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前回行った第1次集計によって発生した製造間接費を各部門へと振り分けましたが、そのうち補助部門に集計された部門費はその補助部門がサービスを提供した各部門に対して改めて配賦しなければなりません。これを第2次集計と言います。

 

 

・補助部門費の製造部門への配賦

 

補助部門費の製造部門への配賦方法には、直接法相互配賦法(簡便式と連立方程式法)階梯式配賦法の4つがあります。

 

・直接配賦法

補助部門間のサービスのやり取りがあった場合でも配賦計算上はそれらを無視して補助部門費を直接、製造部門にだけ配賦する方法です。補助部門間のやり取りを無視するため一番計算が楽です。

 

 

・相互配賦法(簡便法)

簡便法としての相互配賦法とは補助部門間のやり取りを考慮して2回に分けて配賦計算を行う方法です。

 

1回目では補助部門間のサービスのやり取りを考慮して、製造部門と他の補助部門に配賦し、2回目では補助部門間のサービスのやり取りはなかったものとして他の補助部門から配賦された補助部門費を製造部門へ配布します。

 

2級では、直接配賦法と相互配賦法(簡便式)の2つの方法しか出てきませんが、1級では相互配賦法(連立方程式法)と階梯式配賦法の2つの方法が加わります。後ろの2つについては後で紹介します。

 

リンク

 

 

 

次は例題を解いていきます。

 

例題(直接法):次の資料に基づいて直接配賦法により補助部門費の配賦を行いなさい。

 

<資料>

  合計 切削部門 組立部門 動力部門 修繕部門
部門費 100000円 30000円 18000円 45000円 20000円
補助部門費配賦基準          
動力消費量 2000kw 900kw 600kw   500kw
修繕時間 200時間 40時間 60時間 25時間 75時間

 

 

 

・直接配賦法による補助部門費の計算

 

上にも書いてあるように直接配賦法では補助部門間のやり取りを無視し補助部門から製造部門へのサービス提供しか見ないので、修繕部門の動力消費量500kwと修繕時間75時間、動力部門の修繕時間25時間は、配賦計算に一切使いません。

 

 

動力部門費の配賦額

切削部門:45000円 ÷(900kw+600kw)× 900kw = 27000円

組立部門:45000円 ÷(900kw+600kw)× 600kw = 18000円

 

修繕部門費の配賦額

切削部門:20000円 ÷(40時間+60時間)× 40時間 = 8000円

組立部門:20000円 ÷(40時間+60時間)× 60時間 = 12000円

 

合計

切削部門:35000円

組立部門:30000円

 

<仕訳>

(切削部門)35000 /(動力部門)45000

(組立部門)30000 /(修繕部門)20000

 

 

 

 

例題(相互配賦法:簡便式):次の資料に基づいて相互配賦法(簡便式)により補助部門費の配賦を行いなさい。

 

<資料>

  合計 切削部門 組立部門 動力部門 修繕部門
部門費 100000円 30000円 18000円 45000円 20000円
補助部門費配賦基準          
動力消費量 2000kw 900kw 600kw   500kw
修繕時間 200時間 40時間 60時間 25時間 75時間

 

 

 

<第1次配賦>

動力部門の配賦額

切削部門:45000円 ÷(900kw+600kw +500kw)× 900kw = 20250円

組立部門:45000円 ÷(900kw+600kw +500kw)× 600kw = 13500円

修繕部門:45000円 ÷(900kw+600kw +500kw)× 500kw = 11250円

 

 

修繕部門の配賦額

切削部門:20000円 ÷(40時間+60時間+25時間)× 40時間 = 6400円

組立部門:20000円 ÷(40時間+60時間+25時間)× 60時間 = 9600円

動力部門:20000円 ÷(40時間+60時間+25時間)× 25時間 = 4000円

 

 

 

<第2次配賦>

 

動力部門の配賦額

切削部門:4000円 ÷(900kw+600kw )× 900kw = 2400円

組立部門:4000円 ÷(900kw+600kw )× 600kw = 1600円

 

 

修繕部門の配賦額

切削部門:11250円 ÷(40時間+60時間)× 40時間 = 4500円

組立部門:11250円 ÷(40時間+60時間)× 60時間 = 6750円

 

 

<合計>

切削部門:20250円 + 6400円 + 2400円 + 4500円=33550円

組立部門:13500円 + 9600円 + 1600円 + 6750円=31450円

 

 

<仕訳>

(切削部門)33550 /(動力部門)45000

(組立部門)31450 /(修繕部門)20000

 

 

 

【工業簿記】部門別原価計算 その1

 

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次は部門別原価計算の流れを理解していくために簡単な例題を見ていきます。

 

例題:次の資料から部門費を各製造部門と補助部門へ集計する仕訳を行い部門費配賦表を作成しなさい。

 

<資料>

1.部門個別費

 

切削部門:21600円 動力部門:8000円

組立部門:39000円 修繕部門:9600円

 

2.部門共通費

 

建物減価償却費:10000円 機械保険料:38000円

 

3.部門共通費の配賦基準

 

  合計 切削部門 組立部門 動力部門 修繕部門
占有面積 1000㎡ 310㎡ 220㎡ 150㎡ 320㎡
帳簿機械価格 3800万円 640万円 1300万円 980万円 880万円

 

 

 

・部門個別費と部門共通費の集計

 

部門別原価計算においてはまず発生した製造間接費を、どの部門でいくら発生したか分かる費目(部門個別費)と全体でしか分からない費目(部門共通費)に分けます。

 

 

・部門個別費の各部門への配賦

部門個別費は問題文にある数値を直接部門費配賦表に転記します。

 

・部門共通費の配賦

部門共通費はどの部門でいくら発生したかが分からないので設定した基準をもとに発生額を各部門へと配賦していきます。この例題だと減価償却費は占有面積の割合機械保険料は帳簿機械額の割合で配布していきます。

 

 

・減価償却費

切削:10000円 ÷ 1000㎡ × 310㎡ = 3100円

組立:10000円 ÷ 1000㎡ × 220㎡ = 2200円

動力:10000円 ÷ 1000㎡ × 150㎡ = 1500円

修繕:10000円 ÷ 1000㎡ × 320㎡ = 3200円

 

・機械保険料

切削:38000円 ÷ 3800㎡ × 640㎡ = 6400円

組立:38000円 ÷ 3800㎡ × 1300㎡ =13000円

動力:38000円 ÷ 3800㎡ × 980㎡ = 9800円

修繕:38000円 ÷ 3800㎡ × 880㎡ = 8800円

 

 

各数値が計算できたので部門費配賦表を作っていきます。

 

部門費配賦表
  配賦基準 合計 切削部門 組立部門 動力部門 修繕部門
部門個別費    78200  21600  8000  39000  9600
部門共通費            
建物減価償却費     占有面積    10000  3100  2200  1500  3200
機械保険料   機械帳簿価格   38000  6400  13000  9800  8800
部門費    126200  31100  23200  50300  21600

 

 

そして。仕訳は製造間接費を各部門費に振り分ける形となります。 

 

<仕訳>

(切削部門)  31100 / (製造間接費)126200

(組立部門)  23200 /

(動力部門)  50300 /

(修繕部門)  21600 /

 

 

 

これらの処理を第一次集計といい、これによって集計された製造間接費を部門費と言います。

 

 

 

【工業簿記】部門別原価計算とは?

 

・部門別原価計算とは?

 

規模の大きい工場だと様々な作業により製品が製造されることになります。そのためそれに応じて発生する製造間接費の内容も異なってきます。そのため製造原価を材料費・労務費・経費といった費目だけではなく、製造部門ごとにも分類する必要が出てきます。これが部門別原価計算です。

 

 

・部門別原価計算の目的

 

部門別原価計算を行うことにより、より正確な原価計算ができるようになるとともに、発生額の無駄など各部門責任者の責任も明確にすることができます。

 

 

・原価部門の分類

 

部門別原価計算では、各部門から集計した製造間接費を改めて製造部門補助部門という2つの部門に集計し直します。

 

製造部門

木材を切断したりする切削部門や部品を組み立てる組立部門など製品の加工に直接従事する部門。

 

補助部門

機械などの修繕を行う修繕部門や機械を動かすための動力を提供する動力部門など製品の加工に直接関係しないものの他の部門にサービスを提供する部門。

 

 

・製造間接費の部門別計算の手順と仕訳

 

  ①:部門個別費と部門共通費の集計

        

  ②:補助部門費と各製造部門への配賦

 

  ③:製造部門費の各指図書への配賦

 

 

 

 

①:部門個別費と部門共通費の集計

 

<仕訳>

(切削部門)   〇〇 / (製造間接費) 〇〇

(組立部門)   〇〇 /

(動力部門)   〇〇 /

(修繕部門)   〇〇 /

(工場事務部門) 〇〇 /

 

 

 

②:補助部門費の各製造部門への配賦

 

<仕訳>

(切削部門) 〇〇 / (動力部門)   〇〇

(組立部門) 〇〇 / (修繕部門)   〇〇

          / (工場事務部門) 〇〇

 

 

③:製造部門費の各指図書への配賦

 

<仕訳>

(仕掛品) 〇〇 / (切削部門) 〇〇

         / (組立部門) 〇〇

 

 

次は実際に問題を解いていきます。

 

 

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【簿記1級】製造間接費の予定配賦  その2

 

 

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まあここまでが簿記2級で要求される範囲で、簿記1級にはまだ続きがあります。

 

 

・予定配賦率の算出

 

前回の復習ですが、予定配賦率の計算は下のように求められます。

 

予定配賦率:年間予定製造間接費÷基準操業度

 

では、2級ではこの年間予定製造間接費と基準操業度の2つの数値は問題文にあらかじめ書いてありますが、1級ではこの2つの数値を計算することもあります。

 

 

・基準操業度の決定

 

基準操業度とは、1年間に予定される配賦基準数値であり、正常生産量を見積もることで決定されますが、その正常生産量の見積もり計算には、理論的生産能力・実際的生産能力・平均操業度・期待実際操業度の4つの計算方法があります。

 

 

①:理論的生産能力

最高効率で作業が全く中断しない理想の状態で達成される、理論上最高の操業水準。

 

②:実際的生産能力

理論的生産能力から機械の故障や工員の休憩など現実的にどうしても発生してしまうロスを差し引いた現実的に最大限発揮できる操業水準。

 

③:平均操業度

製品の販売において予測される季節性のトレンドの影響などを差し引いた平均的な操業水準。

 

④:期待実際操業度

来年予想される操業水準。

 

 

 

・製造間接費予算の設定

基準操業度を決定したら、今度は基準操業度において発生する製造間接費の金額を見積もります。これを製造間接費予算といい、固定予算変動予算の2つがあります。

 

 

①固定予算

固定予算とは、基準操業度における製造間接費の発生額を予想した後、もしその操業度が変化したとしても変化しない金額のことです。(固定費)

 

もし年間の基準操業度を100時間とし、このときの製造間接費予算を100円として、もし期中で基準操業度が90時間に変更されたとしても、製造間接費固定予算は100円のままとなります。

 

 

 

②変動予算

基準操業度が変化した場合、変化する金額のことです。(変動費)

 

もし年間の基準操業度を100時間とし、このときの製造間接費予算を100円として、もし期中で基準操業度が90時間に変更されたとしたら、製造間接費変動予算は90円(100時間÷100円×90時間)になります。

 

 

 

そして、変動予算額の計算方法には公式法変動予算実際法変動予算の2つの方法がありますが、基本的に公式法変動予算が試験では一般的です。ちなみに公式法変動予算とは、2級でもお馴染みの製造間接費を固定費と変動費に分ける計算方法のことです。

 

 

・公式法変動予算における予算額の決定

公式法変動予算では、製造間接費の予算額を固定費と変動費に分けて計算し、変動費は操業度に対して発生し、固定費は操業度に関係なく一定額が発生します。そして操業度に応じて発生した製造間接費予算(予算許容額)は次のように計算できます。

 

ある操業度(A時間)における予算許容額=変動費率×A + 固定費予算

 

 

・予定配賦率の計算式

これによって計算した基準操業度と製造間接費予算により予定配賦率を計算します。

 

予定配賦率 = 基準操業度における製造間接費予算額 ÷ 基準操業度

 

ちなみに変動費率が予め与えられている場合は下のように計算することもできます。

 

予定配賦率=変動費率 + (固定製造間接費予算額÷基準操業度)

 

 

 

【簿記2級】製造間接費の予定配賦  その1

 

製造間接費は実際配賦すると、指図書の計算が終了しても製造間接費の実際発生額が判明するまで、指図書の原価計算ができないため計算が遅れてしまいます。

 

また実際発生額は毎月変動するため毎月の実際配賦率を用いて計算すると、同じ製品でも製造月ごとに配賦額が異なってしまったりと色々と問題があります。なので、製造間接費は予定配賦率を用いて予定配賦するのが一般的となっています。

 

 

 

・製造間接費の予定配賦

 

製造間接費を予定配賦する場合は期首に予定配賦率を設定します。この予定配賦率は年間の予定製造間接費を年間の操業基準度で割って計算します。

 

 

例題:次の仕訳を行いなさい。

 

1.当期の年間製造間接費は50000円であった。直接作業時間(操業基準度)は500時間である。なお当月の作業時間は↓のようになった。

 

  No1 No2
直接作業時間 50時間 10時間

 

 

 

<解答>

・予定配賦率の計算

50000円÷500時間=@100円 

 

No1:@100円×50時間=5000円

No2:@100円×10時間=1000円

 

仕訳

(仕掛品)6000 /(製造間接費)6000

 

 

 

 

・差異の把握

 

 予定配賦で計算した場合に絶対必要な処理が、実際発生額との差異の把握です。

 

 :製造間接費差異=予定配賦額ー実際発生額

 

復習ですが予定配賦での差異は予定額を基準としているので、予定額から実際額を引きます。実際額ー予定額ではありません。

 

そして差異がマイナス(-)であれば、不利差異として製造間接費配賦差異という勘定科目で借方に計上ます。もし差異がプラス(+)であれば、有利差異として貸方に計上します。製造間接費配賦差異の相手科目は製造間接費です。

 

 

例題:次の仕訳を行いなさい

当月の製造間接費の実際発生額は6800円であった。なお予定配賦額は6000円で計上している。

 

 

    製造間接費

       
実際発生額  予定配賦額
 6800円   6000円 
     

 

製造間接費差異:6000-6800=△800円(借方:不利差異)

 

仕訳

(製造間接費配賦差異)800 /(製造間接費)800

 

【簿記2級】個別原価計算表の処理

 

例題:A社では実際個別原価計算により製品の製造原価を計算している。下の原価計算史料を基に指図書別個別原価計算表と仕掛品と製品のT字勘定を完成させなさい。

 

1.製造指図書別の直接材料消費量及び作業時間は下の通りであった。

 

  NO1 NO2 NO3 合計
直接材料消費量(kg) 50 500 600 1150
直接作業時間(時間) 50 200 100 350

 

 

2.直接材料の当月消費量単価は100円/kg、労務費の当月実績消費賃金率は500円/時間

 

3.製造間接費の実際発生学は1050000円で、直接作業時間を基準に各製品に配布している。

 

4. NO1は前月に製造開始したもので前月中の製造指図書に集計された直接材料費は100000円、労務費は50000円、製造間接費は120000円であった。他の製品指図書はすべて当月に着手したものである。月初において完成品はなかった

 

5.NO1は当月中に完成し、得意先に引き渡した。NO2は当月完成済みであるが引渡は行なっていない。NO3は当月未完成である。

 

 

 

 

原価計算表の集計

 

個別原価計算では特定の製品を製造するために発生した、材料費・労務費・経費と製造間接費を、各製造指図書番号の下にそれぞれ集計していきます。

 

ここで注意したいのは月初仕掛品と各製品の状態です。問題文に「前月に消費した~」と書いてある指図書には、月初仕掛品の費用を追加しなければいけません。

 

この月初仕掛品原価の金額は前月に消費した材料費・労務費・経費の合計額となります。(この問題だとNO1のところの月初仕掛品に、100000+50000+120000=270000と記載します。)

 

次に注意するのが各製品の状態です。製品が完成し得意先に引渡が完了していると、完成・引渡済になり、この場合はその合計を製品原価に計上し売上原価とします。

 

そして、完成はしたけどまだ引き渡していない場合は完成・未引渡となり、合計を製品原価に計上して、次月繰越とします。

 

また未完成のときは仕掛中となり、次月繰越の仕掛品とします。

 

 

<解答>

 

  NO1 NO2 NO3 合計
月初仕掛品原価 270000      270000
直接材料費 5000 50000 60000  115000
直接労務費 25000 100000 50000  175000
製造間接費 150000 600000 300000 1050000
合計 450000 750000 410000 1610000
備考 完成・引渡済 完成・未引渡 仕掛中  

 

 

 

           仕掛品

———————————————————————

(前月繰越) 270000      | (製品)    1200000

(直接材料費)115000      | (次月繰越)410000

(直接労務費)175000   |

(製造間接費)1050000 |

 

 

         製品

——————————————————————

(仕掛品)1200000 | (売上原価)450000

            (次月繰越)750000